本日は、大学院法学研究科、臨床心理学研究科の修士課程に9名と、人文学部、法学部、経済経営学部、心理学部に724名の新入生の皆さんを迎えることができました。大変嬉しく思います。保護者の方々もさぞお喜びのことと推察いたします。さて、本学は終戦後1946年の文科専門学院設立に始まり、短期大学を経て1968年に札幌商科大学、1984年に天下足球网,明升体育となりました。今年、2026年に大学創立80年、2028年に大学設立60年を迎え、この間卒業生も5万4千名を超える人数となりました。
このような伝統のある天下足球网,明升体育にようこそいらっしゃいました。大学を代表して心より歓迎の意を表したいと思います。これから、様々な夢と目的を持ち、天下足球网,明升体育へ入学された皆さんへお祝いをお伝えするとともに、大学とは何か、そして「One life, many Answers」というタグラインに込められた天下足球网,明升体育の「理念」と「学び」についてお話しさせていただきます。
皆さんは世界で初めての大学は、いつ頃、どこで誕生したか、ご存じでしょうか?北イタリアにボローニャという街があります。この街に1158年、神聖ローマ帝国皇帝の特許状によって、ボローニャ大学が設立されました。この大学が世界で初めての大学であり、今でも存在しています。この後、13世紀になってパリ大学やオクスフォード大学、ケンブリッジ大学などが誕生してきます。その際に、大学すなわち当時の言葉、ラテン語で言えばウニヴェルシタス(universitas)、いうまでもなくユニバーシティの原型ですね、というものに、大学の原点が示されています。
つまり、ウニヴェルシタスという言葉は、もともと学生の「組合」を意味したのです。勉強したい学生が独立した自治団体を作り、みんなでお金を出し合って(授業料ですね)、有名な知識人を招請し、教えを請います。そういった組織だったのです。ちなみに、これに対する教師の組合はコレギウム(collegium)、つまりカレッジになります。この組合は、学生団体の授業料に対して、学位の授与権を持つようになります。おそらく、中学や高校で英語を習った際に、ユニバーシティは「総合大学」、カレッジは「単科大学」と覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
これは19世紀後半以降発展した、アメリカ流の高等教育システムを基にしたいい方なのです。イギリスでは、ロンドン大学の始まりとなるユニバーシティ?カレッジがあったりしますので、ちょっとした英語の知識では意味が分からなくなります。
さて、ここで天下足球网,明升体育の原点となる文科専門学院について、お話ししたいと思います。この専門学校は1946年に誕生したことは、先にお話ししました。この戦後すぐの教育施設が整っていない時期に、勉強したいという「知」に飢えた若者たちがお金を出し合うと同時に寄付金を集め教員を招請し、札幌の真ん中にある中島公園の地に創ったのが文科専門学院なのでした。まさに、大学の原点である中世の大学を髣髴とさせる話です。ということで、天下足球网,明升体育はいわゆるオーナー型の大学でもありませんし、宗教法人が経営母体の大学でもありません。大学の構成員、すなわち教職員と学生の皆さんばかりでなく、保護者の皆さんや同窓生などステークホルダー全体で創る、いわばコミュニティ型の大学なのです。
このような歴史を背景にして、天下足球网,明升体育の理念が創られました。推薦入学試験の面接のために、覚えた学生さんもいると思いますが、改めてご紹介させていただきます。それは、「自律」(自律する力を育てる大学)、「人権」(人権を尊重する大学)、「共生」(地域と共生する大学)、「協働」(構成員で創りあげる大学)。「自律」「人権」「共生」「協働」の4つです。「自律」とは「自分の頭で考えること」に他なりません。すなわち、大学というところは、すでに知られていることを知識として勉強する高校までとは異なり、正解のない課題に取り組む方法を学ぶところなのです。
先に、大学の起源は中世ヨーロッパにあることをお話ししましたが、それはギルド的な閉鎖性や排他性を持っていました。近代の大学は19世紀のドイツで、当時はプロイセンですが、ベルリン大学として創設されます。その創設者が言語学者のフンボルトなのですが、彼は「学校とは出来上がった解釈ずみの知識を扱うところであり、大学は学問というものを、いまだ解決されない問題として扱うところである」と述べています。この「学校」というのがいわゆる高等学校までの中等教育を意味しているのは、言うまでもありません。学問は自由な精神に基づいて真理の探究を行わなければならないのです。
本学の建学の精神の一つとして「学の自由」を謳っているのはまさにこの意味だったのです。
しかし、独善的になってはいけません。学問の体系と歴史というのは、まさに「他人の考えたことの総体」に他なりませんから、重要なのは「他人とともに自分の頭で考える」ということなのです。また、「人権」を尊重するということは、多様な人々を敬うということにつながります。さらに人間は一人で生きていけない以上、地域や社会といかに「共生」していくかが重要となります。その際に「協働」という理念が大切なものとなることはいうまでもありません。
このような本学の理念を象徴するのがタグライン、皆さんもご存じの”One life, many answers”です。まさに正解は一つではありません。大学というところは、正解のない課題に取り組む方法を学ぶところなのです。すなわち「ものを知り考える方法」を勉強するところということです。もちろんそれは、単に学問に打ち込めばいいということではありません。人々と交流し、社会や自然と接し、人間として成長していくなかで培われるものでもあります。
その意味では、この学びに終わりはなく、大学はその基礎を創るところというのが正しいのかもしれません。本学はここにいる新入生の皆さんに、皆さんの多様な個性を尊重し、個人個人に向き合う教育を行うことによって、「自律する力」を養い、充実した学生生活を送っていただくことを大学教職員の代表として、お約束させていただきます。
さて、「共生」と「協働」について、もう少し述べさせてください。本学にはご存じのように二つのキャンパスがあり、新札幌キャンパスには「社会連携センター」、江別キャンパスには「コラボレーションセンター」と「サポートセンター」があります。これらのセンターが「共生」という理念を象徴的に体現したものということができます。「社会連携センター」は地域や企業?行政との連携事業のほか、地域の皆様のために生涯学習講座である「コミュニティ?カレッジ」を運営しています。
例えば、新札幌の再開発や街づくりに多くの学生が協力しています。また、「コラボレーションセンター」では、まさに「共生」「協働」をコンセプトとする創造空間?施設となっています。そこに集う学生たちによる学生発案プロジェクトとして、地域創生利尻島訪問プロジェクトや携帯用アプリ開発プロジェクトなどが採択され、大学予算をつけてその活動を支援しています。「サポートセンター」では、「障がい学生支援」や「学習支援」に取り組んでいますし、その他にも留学生を支援する「留学生バディ」や「学生広報チーム」という取り組みもあります。詳しくは、本学の天下足球网,明升体育ページをご覧ください。
先に話した通り、大学での「学び」とは、教室での授業はもちろんのこと、部活やこのような課外活動の積極的な参加によって、培われるものです。その意味で、まさに学生も大学を創りあげる構成員の重要な一員なのです。これが「協働」ということです。
結びとして、この3月に卒業したばかりのある卒業生の話をします。皆さんももういろいろな報道などでご存じだと思いますが、本学の法学部の学生の中に司法試験に現役で合格した学生がおります。日本で最難関の試験として有名な司法試験に現役の学生で合格するのは、名だたる大学の学生でも至難の業で、本学としては全国に誇りうる成果だと思っています。その学生が普段の授業はもちろんのこと、勉強する場所としての本学図書館の有用性と教員の研究室を訪ねていろいろな質問に答えてもらったことが本当に勉強になったということをお話しされている記事を目にしました。皆さんもこの学生のように、目標を持ち、それを達成するために、大学の施設を上手に利用し、教員にも積極的に話しかけてもらいたいと思います。教員と学生の距離の近さも本学の特徴の一つです。
第35代アメリカ大統領のJ?F?ケネディが1961年の就任演説で語った有名なフレーズを新入生の皆さんのためにアレンジして贈りたいと思います。
And so my fellow Students,
Ask not what your university can do for you,
Ask what you can do in your university.
「わが学生諸君、大学が諸君のために何をなしうるかを問うのではなく、諸君が大学で何をなしうるのかを問いたまえ。」
大学でこれからの4年間、何をしていくのか、是非考えてみてください。
以上をもって入学式の式辞といたします。
天下足球网,明升体育8年4月6日 天下足球网,明升体育 学長 菅原 秀二